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相続事件に関与する弁護士のスタンス

1.相続事件の多くは感情的な問題が介在します

   私たち弁護士が相続事件についての法律相談や依頼を受けるケースにおいては、遺産を相続人の間でどう分けるか、あるいはこれから遺言書をどう作成するか、また現実に遺言が存在する場合にその効力や遺産の分け方はどうなるのか、といったことが主なテーマになります。
   相続事件の多くの場合に、相続人や関係者としては、財産をどうするかという問題以前に、亡くなった被相続人や他の相続人に対して抱いている感情的な問題があり、それをまずいろいろな人にわかってほしい、という気持ちを多くの方が持っておられることと思います。例えば、自分の兄は味方だと思っていたのに、言うことがある時点から変わってきたとか、妹が何故人の悪口のようなことを言い出すのだろうか、それならこちらも言いたいことはその何倍もあるとか、自分は亡くなった親や兄弟姉妹のために一所懸命にやってきたはずなのに、他の人がそういうことを理解せずに、欲でものを言い出している、といった類のことです。
   しかし、弁護士に相談したり、裁判所で調停や審判の手続きになったりすると、そのような感情的な面はあまり重視してもらえず、要は財産をどうするか、お金を誰が誰にどう払うのか、といったことを事務的に決めるのがテーマであると言われたりして、違和感をお持ちになる方も多いのではないかと思います。結局は財産の問題になるということは理屈のうえではわかっているので、冷静になろうとしつつも、なお割り切れないものを感じる方も多いように思います。

2.相続事件に関与する弁護士のスタンスと、依頼者の方が抱きがちな不満

   このような相続事件に関与する場合の、弁護士のスタンスのとり方は、様々です。依頼者の方の気持ちをよく受け止めてほしいのに、全然聞いてくれない感じの弁護士もいるかもしれません。他方で、法的に有効な議論を展開し、すぐれた手段をとることのできる手腕を弁護士に期待する、という面もあります。その両方に期待する方が多いかも知れません。しかし、時間の限られた中で、弁護士ができることには限度があるのも事実です。いきおい、遺産の範囲はどこまでか、遺産の評価をどうするか、相続人の一部に特別受益を受けたり寄与分が認められたりする余地はないかどうか、そのための具体的な根拠はないか、遺言がある場合にその効力をどのようにとらえるか、遺産を誰がどのように取得するのが現実的で、依頼者にも損がないかどうか、といった、遺産をめぐる法的な問題を中心テーマに置いて、依頼者からもそれに役立つ話を聞き出したり資料を集めたりし、依頼者への見通しや解決方法の説明もそれらを中心に行う、ということになりがちです。そうなると、法的な問題につながらない感情的なことを弁護士に伝えようとしても、煙たがられ、話を遮られたりしてしまい、弁護士や裁判所の言うことを納得して受け入れることができず、仮に形の上では解決したとしても、大きな不満が残る、と言ったことにつながります。

3.私(亀井)の場合

   この文章を書いている亀井は、このような問題に対するスタンスをどのように採っているかを以下に述べてみます。
   私自身も、相続事件はどうしても財産関係をどうするかが中心テーマになるということを否定するわけにはいきませんので、依頼者の方にもその点は率直に伝えるとともに、やっていくことに事務的な違和感を覚えられることがあるかもしれない、ということも付け加えるようにしています。ただし、相続事件を解決することは、恨みや憎しみを引きずるのでなく、何がしかの区切りをつけて人生を次に進んで行くための契機になる重要な事柄なので、気持ちのうえで納得することはとても大事なことです、ということと、他方で気持ちを整理する冷静さを失わないことも必要です、ということを強調するようにしています。ですので、私の側でも依頼者の方の気持ちをできるだけ受け止めるようにしようと心がけていますが、冷静に受け止めることも重要ですので、口頭での打ち合わせだけでなく、いきさつや、関係者に対する感情的な事柄は、できるだけ書いてもらうようにしています。その方が、依頼者の方も少し冷静に振り返ることができますし、また文章を読ませてもらう方が、全体を早く掴むのにも適しているからです。また、書いてもらったことが、遺産の所在・評価や関係者の特別受益・寄与分といった法的な論点について議論の有益な材料になることもあるからです。
   そのうえで、方針を決めていくうえでは、依頼者に書いてもらったことをできるだけ生かしつつ(ただし、気持ちはわかるけれども法的な議論に結びつかないような点は、丁寧に説明して納得してもらうようにしています)、法的に説得力のある議論を存分に組み立てて依頼者に説明しながら進めるようにしています。最終的に解決案を考案したり、場合によっては不満のある解決案であっても受け入れることを選択したりする場面では、依頼者の方と弁護士の間で信頼関係ができていることが不可欠です。自分のために精一杯やってくれたこの弁護士が最善の選択肢と思うのであれば、納得して次に進もう、と考える方も多いように思います。
   私は、このようなことを重視しています。

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